love2016の雑記

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気づいた事や感じた事、得た知識などをシェアしていきたいです

アトピー紆余曲折の末(まだ未達)

これは治療情報ではなく自分に対する宣言です。

 

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私は重度のアトピー性皮膚炎です。

生まれつきなので小児の頃の全身のカサカサ、痒み、切れて傷になり伸ばせない関節。

大人になり異性との関係を考え出すころから、顔中が赤く腫れあがり、痒み、傷、滲出液、乾いた皮膚の落屑、フケ、頭皮の痒みによる禿げ上がり、掻きむしりによるまつ毛、眉毛の喪失。

見た目で即判断できる病状から、親切心にしろ押し売りにしろ、ありとあらゆる民間療法をお勧めする人たちと出会って来ました。それを受け入れるにしても拒否するにしても多大なストレスとなり、人付き合いさえ億劫になる時期もあります。

だって笑顔で近づいてくる人はほぼ100%売込みなんですもの。

そしてそれ以外の人は視線を逸らし、なるべく関わらないように、存在していないものとして扱う(これはその人なりの優しさだと思います)そんな人間関係でした。

 

 

恐ろしい「感覚の麻痺」

生まれつきという事もあり、私にとってアトピーは「当たり前の事」であり、あまりにも長く付き合いすぎたせいか、最近傷だらけ滲出液だらけの自分の顔を鏡で見ても、あまり気にならなくなってしまいました。メイクもほとんどせず、スキンケアだけで過ごす日も多くなりました。

ところが先日、久しぶりに会った知人から「どうしたの、以前よりずっと酷い」と心配されました。しかも一人ではなく複数人に。

そうして客観的な視点で考えてみると、そういえば私も、自分以上に症状の悪化しているアトピーさんを見た事ないなという結論に至りました。

あまりにも見慣れ過ぎてしまい、自分がそれほど重傷である事を認識できていなかったのです。

 

今までかなりの民間療法を試してきました。

勿論皮膚科にもきちんとかかっています。

 

それでも一進一退、つまり全く改善していない状況が生まれてからずっと続いているのです。それは難病を抱えている人にしかわからないかもしれませんが、常に毎回、努力を踏み躙られ、希望を絶たれ、絶望しそれでも這い上がらなければならない苦痛を繰り返し経験させられるという事なのです。

そしてそんな状況が長く続けば続くほど、「アトピーは必ず治る」という言葉さえも重く辛い言葉に変わります。

 

・治る病気を直さないのは努力が足りないから。

・不摂生を直せばアトピーは治る。

・好き嫌いをしないで野菜中心の生活をすれば治る。

・かかなければ治る。かくのは忍耐不足。

・たかがアトピー、世の中にはもっと辛い人が沢山いる。

アトピーごときで落ち込むのは精神が弱いせい。

 

今思えば、治療にまともに向き合えば向き合うほど、これらの言葉に接する機会も増えてきました。そうなればなるほど、治らないのは自分の努力不足のせいで、自分がこれほどまでに汚く醜く耐えがたい痛みとかゆみを抱え続けているのは自分の弱さのせいだと責め続ける事になります。

そのネガティブな言葉の数々は、アトピー以外の自分の生活にも支障をきたし、いつしか自分はどうせ何をやっても成功しない人間なのだと思わざるを得なくなりました。だって、やればできると思って頑張れば、また失敗するんでしょ。また絶望して、そして前より悪化するんでしょ。という刷り込みが完璧に出来あがっているからです。

 

 

北風と太陽

 

しかし最近自分で気付いた事は、商品を売り込みに来る人は当然であるという事。これだけ悪化したアトピーぶら下げて街中を歩いていれば、そりゃ売込みもしたくなるでしょう。それに気づいてからはあまり嫌悪感を抱く事はなくなりました。

相変わらず押し付けられるのは大嫌いですが、これはアトピーに限らず私が全般的にそういうタイプの人間が嫌いなだけのようです。

 

そして同時に、それだけ重症で汚く臭い(自分では認識しづらいのですが、常に滲出液が出ている関係上、このレベルのアトピー患者は生魚の腐った匂いがするんだそうです。)そんな私に対して、一切の嫌悪感を示さずごく普通に接してくれる人たちの多さに、今まで気づけていなかったことを思い知りました。

 

商売目的の人がこれだけ多く飛びついて来たくなるほどの汚い私に、全く普通の人と接するのと同じ態度。(自分を下卑しているわけではありません。ブスとかそういうレベルの話ではなく病気なので、一見すると感染症みたいにも見えるでしょうし。汚いものや危険なものに近づきたくないのは人間として当然の心理です。)

 

多くのお節介を装った押し売りたちと話している時は

「私がアトピーだからなんだっていうんだ。あなたには関係ない。なんで顔が汚いってだけで30万も払って美容機器買わなくちゃいけないんだ!私はこれまでだって沢山努力してきたんだ!まるで何もせず放置してたみたいな言い方しないでくれ!!何もしらないくせに!もうほっといてくれ!」

と思っていましたし、実際今も押し売りたちに対しての嫌悪感は消えていません。

 

けれども、損得勘定抜きで私と接してくれている人たちと共にいると、この人たちに不快な思いや心配をさせたくない。自分で自分の管理が出来ている、コントロールできる問題であると証明して安心してもらいたいと思う気持ちが強くなってきました。

 

そう考えているうちに自然と、以前よりずっと真面目に病気と向き合っている自分がいる事に気づきました。丁度北風と太陽の物語のように、治療に疲れ押し売りに辟易してもうどうせ何をしても治らないと頑なになっていた自分の心を、優しい人たちの暖かな見守りが融かしてくれた感じです。

 

私は重度のアトピー性皮膚炎です。

アトピー以外の皮膚の病も併発しており、首から上と下では病気の種類が違うので、身体の方にはアトピーの治療方法すら効果がありません。

身体の方の状態は、同じアトピーの患者さんがみても驚くような状態です。(酷いとかそういう話ではなく、種類が違う。なにこれどうなってるの、どうしてこんな風になるのと驚かれます。)

心臓の疾患も抱えています。

 

それでも、治療に向けて努力し続けて行こうと思います。

治ると信じ、アトピーを手放すと決めました。

30年一緒に生きてきた病気です。即日完治はしないでしょう。

でも少しづつ、距離を置いて行こうと思います。